本を読め。いや、読まなくてもいい。

昨晩は気の置けない友人たちと、最近面白かった小説、マンガ、ゲーム、動画とかとかの紹介あらため押し付け合いでした。学生時代に国語便覧を端から端まで、文庫本巻末の既刊紹介ページを端から端まで読んだような人たち大集合。だいたい「面白い本を教えて」というと、怖いおじさんが集合する合言葉ですから注意してください。

 

まず第一にページ数は暴力。「コズミック」のカドでテンプルへの一撃で仕留めろ。最強は「新世界より」の通常攻撃が2回攻撃で、会心の一撃の作家は好きですか? と決まりました。「文豪ストレイドッグス」待ったなし。

なにはともあれ、ミステリを中心とした紹介でした。「兇人邸の殺人」と「硝子の塔の殺人」を読み終えていたとにさんの徳の高さにひれ伏せました。ミステリのハードカバーなんてずいぶん買ってないなぁ。とにさんいわくも「最近、ハードカバーが読めるようになってきた。できれば文庫がいい」との由。わかるー。ハードカバーって、自宅でしか読めないじゃないですか。持ち歩けないし。伊藤計劃は別として。その意味でも電子書籍は便利です。その電子書籍なんですが、字を大きくできるのが一番便利な機能になるとは想像もしてませんでした……。

 

「館」シリーズ全部読んでない、「時計」まで読んだ、「〇〇館」はアレ、「0の殺人」面白いよ、とか、新本格黎明期の作品紹介が多いのには理由があって、Kindleアンリミで読める本の紹介がメインだったんですよねー。作家ごとに、ねこそぎ読める作家もいれば、まったくの作家もいたりと、いろいろ紹介してました。99円だとして、読み終えられるのか問題はあるとして。あと、私としてはBookWalkerの読み放題もお勧めです。アニメ化、映画化とかあると、期間限定で読み放題になるのです。「汚れた英雄」を電子書籍化してください。

 

でもって、ラノベ。は、90年代くらいまでが読み放題でしょうかね。秋山瑞人は「黒鉄コミュニケーション」以外は読めました。驚くべきことに「まぶらほ」全巻読み放題です。がんばってください。総計で20000冊くらい読み放題ですので、人生の残り時間との戦いです。がんばってください。

 

という、話から、ちょっと逸れて、小説から文体の話。

マンガの絵柄が作品評価に込みのように、小説にも文体は評価対象でしょう。読みやすい、ではなくて、文体、言ってしまえば、文「芸」の部分です。地の文にどれだけ作家性が出ているかとでもいいましょうか。前述の秋山瑞人の文体は読みやすく、ルビ、セリフ、言葉の選択と作家性がちりばめられています。雑な連想で入間人間西尾維新舞城王太郎などでしょうか。なお、舞城の最高傑作は「熊の場所」です。次点が「ドリルホール・イン・マイ・ブレイン」(集合知)。

 

小説が売れてない、というのは、本来の意味としては読まれてない、だと思うんですよね。電子書籍にしろ、図書館にしろ、読む人のためのツールですよ。たとえ読み放題99円でも、読まない。

そのうえで、マンガだって読書ですよ。地の文を全部絵にした小説。だからテンポが遅い。小説の利点って、とにかく展開が速いところですよ。吉川版三国志なら1行で5万人が死に、20年が過ぎ、魏延が逃げ去ってしまうのです。ラノベのコミカライズと、原作とを読み比べるとよくわかりませんかね。個人的な例ですと「天気の子」は映画を見るより、読み終えるほうが速かったです。

小説は展開の速さが特徴で、できれば1冊で完結してほしい。んですが、最近はそうもいかず、結局読まれないが加速するような気がします。最近新刊が出た「六畳間の侵略者」とか。あと「ソードアートオンライン」だけ読む人は実在します。

 

物語の面白さだけじゃなくて、文章の面白さも小説の面白さのきわめて重要な部分だと思います。ラノベの文章がどうとかいう人は、以下の対談を読んどいてください。

news.denfaminicogamer.jp

 

マンガと並行して、小説の入り口として、青い鳥文庫、つばさ文庫、みらい文庫とかに進んだりしないんですかね。最近「マチトム」が映画化されましたが。「ぼくらの七日間戦争」を思い出します。あれ、子供向けじゃないですけど。

 

machitom.jp

 

面白い小説と並べてゆく中に、当然のように、つまらない小説も出てくるのが楽しかったです。文章がめちゃくちゃの本とか。実名は挙げませんが。個人的に、某有名大人気シリーズの第1巻の文章のめちゃくちゃさがおすすめです。書名は内緒です。

 

あと、最近みたネットニュース(たぶんアオリだと思うんですが)「面白い本だけ読みたい。つまらない本は人生の無駄」みたいな内容があったように覚えています。面白い本だけ読めたらどれほど上質な人生かー! でも、そのうち面白くない本でも、読めちゃうんですよね。で、読み終わって「面白くねーなー!」と言って終わる。これを言いたいために読んでるんですよ。あと、面白い本は自分で見つけられません。ここ重要です。

 

と、いうようなことを、閉会後に考えていました。

 

積読はお前を作り上げる行為だ。買って読まずに書棚に差せ。完璧な書棚を作り上げろ。それがお前のエクステリアだ。