マンガ2020
生きる糧マンガをご紹介する毎年のエントリです。
なお「空電の姫君」「デイズ・オン・フェス」「シオリエクスペリエンス」「かげきしょうじょ!!」は殿堂入りのため、紹介しません。みんな読んでるでしょうし。
また、以下の順番に意味はありません。
- 笑顔のたえない職場です。 くずしろ/コミックDAYS
少女漫画家双見奈々先生のなにもかもうまくいかない日々をつづる、ワーキングコメディ(きれいな表現)。
毎月の更新がめっちゃ楽しみ。毎回、毎回どうしてこんな結果に……と思う展開ばかりです。持ってるものが違うと凡俗に見せつけてくれます。アシスタントのはーさんの闇がちょろちょろ顔を出すのも激アツ。
マンガを描くのは大変ですな、と痛感できる1作です。
押切蓮介「狭い世界のアイデンティティー」と同じ講談社が舞台で扱う主題も近いのに、ぜんぜん違う。 - よふかしのうた コトヤマ/週刊少年サンデー
吸血鬼のナズナちゃんと、不登校中学生コウくんのふたりが、深夜徘徊してすごすほんわか日常系。ときどき大人をなぐりにくるのがコトヤマ味ですね。2巻のラストとか。
この世界での吸血鬼の存在理由とか、だからどう生きるしかないとか、いつまでも夜にいられない、朝は必ずやってくるとか、そういういろいろを載せて、毎回、毎回つっぱしってます。だって、俺たちの夜は忙しい。
あと、単行本の腰帯の紙がすっげぇいいです。 - マッシュル 甲本一/週刊少年ジャンプ
shonenjumpplus.com今、週刊ジャンプで毎回楽しみ筆頭。物語の展開は異世界転生もののように、主人公だけの文法で問題を解決していく。魔法こそパワーの世界でのファンタジーなんだけど、主人公がフィジカルで戦うのを見た敵が「それはもうファンタジーだろ」とあきらめるのが最高でした。ファンタジー世界におけるファンタジーって、そうなるよなぁ、と納得しました。
毎回毎回の見せ場が見開きでドン! なのはWebマンガが多い今となっては迫力があって、雑誌連載を読む価値がありますな。単行本もジャンプ本誌と同じ製本方法にしてもらえませんかね。いや、ほんと。背が割れてしますやん。 - SA07 津留崎優/きららフォワード
seiga.nicovideo.jp2020年代の「げんしけん」。マンガ・イラスト・アニメーション専門学校を舞台に学生たちが、今風の承認欲求とか、画力を力に殴り合ったり、ガンプラを作ったり、ピザポテトで優勝したりする日常をつづる。
とにかく主人公にいっさい共感できない、主人公以外がみんないい人で共感しまくれる世界なのが最高です。なお、休載しがちなのが珠に瑕。 - Still Sick 灯/pixiv
社会人百合が大好きです。自分は同性が恋愛対象なんだと気づく、とか、同棲するとかしないとか、自分と社会とのすり合わせをどうするかとか、そういう展開が好きなんです。そのうえ「Still Sick」はもう一つの物語として、漫画家の挫折と復帰がちりばめられていて、それとの合わせ技で、もう1ページ、1ページ、毎ページ、毎ページしびれて突っ伏すくらい好きです。
完結後のふたりのその後のすっとんきょうな毎日を作者がときどきpixivで公開されてます。どうぞ。
- ツインズシング ゴリラスロウ/COMIC MeDu
今年新規の音楽漫画枠。玉置勉強あらためゴリラスロウの描く、プレイヤー側の悩み、喜び、他のバンドとの面倒くさいあれやこれやとか。ゴリラスロウ先生ご本人がバンド砂利道で活動してる経験からか、いろいろ面倒くさい話がかかれるのが特徴的です。
なにはともあれ、主人公の双子がかわいらしいので、読みやすくてお勧めです。
- コーヒームーン 牡丹もちと/電撃マオウ
comic-walker.com雨とまっくろの世界で、なにかが起こっている不安が募るサスペンス。主人公の少女ピエタに何がおこっているのか、毎回、毎回ラストがものっそい超展開を見せるので、ちょっとやそっとの考察なんてぶちこわしていく物語の腕力のすごさが魅力です。
これを連載で読むと感じないのですが、単行本でまとめて読むと、ものすごうく湿度が高くてうざったいのが特徴的で印象的です。あまりのうざったさに第1話冒頭は、カラーページなのを忘れて読んでました。
単行本は現在2巻まで。3巻でひとまずピエタの物語は終わりらしいのですが、どうなることやら……。 - 双子たちの諸事情 鉄一/twitter
画力オバケまんがその1。
主人公たちの双子、兄のこーきくんと、妹のなおちゃんのラブコメディ。家族でありながら、互いを密かに想いあうふたりだったけれども、その日常が一瞬にして崩壊して、はーさてどっこい、どうなることやら。twitterからpixiv連載、ビームから単行本と展開してます。
構成、展開、絵柄、キャラクター、セリフ回しとかとか、もう好きしか言葉が出てきません。単行本書下ろしの増ページで語られるこーきくんの物語が、彼らしい、ちょっと薄い友情と出会いで、ぐっときます。 - 異世界帰りの勇者が現代最強! さめだ小判/ガンガンオンライン
画力オバケまんがその2。
異世界転生もののなんだけど、魔王を倒して、現実世界に戻ってきてから始まる主人公無双コメディ。
戻ってきた「自分の現実」世界はあんがいめちゃくちゃで、危うい綱渡りの上に日常が成立しているのだと知った主人公。しかたなく異世界由来の能力ですっとこどっこいポンコツヒロインふたりの日常と自分の日常を守るために苦労する。
Web連載時に海苔、ディケイド修正がちょこちょこ入っちゃうのはさめだ小判なら仕方がないので、みんな単行本を読みましょう。 - あんじゅう/イマジナリー 幾花にいろ/楽園
画力オバケまんがその3。
「あんじゅう」は社会人女性ふたりのルームシェアの日常モノ。毎回、毎回上質なコントを読むかのような展開に笑わせられっぱなしです。単行本が出るので買え。
「イマジナリー」は女の子4人のすっとんきょうな日常モノ。こちらも毎回、毎回、登場人物の一人、善桂の変遷がアツい。日本史ネタが多いのが作風です。こっちのほうが先に単行本になると思ってた。
あと、ニコニコ大百科の幾花にいろの項目がすごすぎて怖い。
いやもう「楽園」が全ページ好きなんですけどね……。来年は「友達の妹」が楽しみです。
推しは、わたしの背骨だ。