ラジオと

ラジオを聴きながらなにかをできなくなった、と気づいた。

思い返すと、初めての自分のラジオは電子キットで自作した機械だった。それで初めて聞いた某「mamiのRADIかるコミュニケーション」で、私の人生は完全に車線を乗り換えたような気がする。そのあとも、CM聞きたさにラジオをアメリカンしたり(無礼)、青春をアドベンチャーしているうちに、SFを知り、新井素子を知り、「ポーの一族」を知り、いろんな本を読むようになり、これもまた人生の車線を乗り換えた契機となった。

知らないメロディーを教えてくれたり、聞いたことないヒット曲を教えてくれたり、岡村靖幸を教えてくれたのもラジオだった。YMOはテレビで知ったけれど、坂本龍一を知ったのはラジオだったと思う。オールナイトニッポンは当然聞いたし、高井を返せと思ったし、ヤンパラから、夜ドカ、オーデカと聞きづけた。

つまりラジオは最初の「ぼくの、マシン」だった。テレビは家族で楽しむ娯楽だけれど、ラジオは私だけの秘密の娯楽だった。テレビでは楽しめなかった落語もラジオだと楽しかった。思うに「痴楽綴方狂室」はラジオのほうがたのしめたんちゃうか。

初めての自分専用の機械。

ラジオ、ウォークマンゲームボーイ、ポケベル、携帯電話、スマホと最初の自分専用の機械は移ろってゆくのだけれど、結局、最後のスマホでラジオを聞いている。

そして、以前なら何かをしながらラジオを聴けたのだけれど、気づいたらラジオを聞くしかできなくなった。

聞きながらなにかをするとラジオがまったくとどかない。いつのまにか、どんなにゲームをやりこんでも音楽をちっとも覚えなくなったのと原因がおんなじに思う。ゲームに集中しすぎて音楽聞いてない。そういえば、ビートマニアって、音楽聞いてるんですかね。音ゲー一般でもいいですが。

これを書き終わったらラジオ聞いて寝ます。あのころからずっと寝落ち。