映画「すみっコぐらし」は会話の基本。

映画「すみっコぐらし」をみた。

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子供たちの知っているすみっコたちが、子供たちの知っている物語、昔話の世界で大活躍するおはなしでした。

とにかく子供たちがしっているものしかでてこない。それだけで物語をつくりあげている。子供たち中から言葉を引き出そうとする、やさしいコミュニケーションがそこにあった。

それは相手を尊重する会話の基本の基本です。

「それはつまり」と自分の意見にすりかえたり、「こんなことも知らないのか」と知識で殴りかかったり、「自分なら~」と自分のことを語りだしたり、「いや」「いやいや」と否定から話はじめたりしない。

人と人の会話の基本がこの映画には敷き詰められていた。映画を通して語りかける子供たちの中にある言葉を大切する、あたたかい敬意が感じられた。

そして、先を予想できるこどもたちには、ちょっぴりそれを裏切る、意外な展開を届けてくれる。すみっコぐらしが好きな子供たちには十分な映画でした。

大人が、それもネットに釣られた大人が、ちょっと低く見てみる分にも十分たのしめます。とにかくストレスフリーなので、すみっコたちと、いのっちの声に解毒され、ほとんどやさしさ、時々攻撃のほんじょうさんの声に撫でられてきてください。

で。

スタッフロールに由水桂とあったんだけれど? 見間違いかな? ここが私のいちばん盛り上がりどころでした。真偽は不明。それもまたよし。

「このラノ」がでるまえに。2020

このライトノベルがすごい!2020」の書影がでました(専門用語)。

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アマゾンに登録された表紙でランキングネタバレしたのっていつでしたっけ。記憶で書いちゃうけど「妹さえいればいい。」とネタかぶりだったような気がします。なお「このラノ」は現実。「きまぐれコンセプト」の「その担当者が私です」を思い出しました。石抱。

ランキングの是非、投票方式についての議論はこれの前身ともいえる「このミス」で、それこそNIFTY-SERVEのころに議論し尽くしたので、もういいです。ランキングは必要。年代記として評論もインタビューも必要。これを読んで来年読む本を決めるのです。それを思うと「本の雑誌 文庫王国」のライトノベルの項はライターさんひとりでランキングを作っているので、その労力が忍ばれます。今年も楽しみにしてます。

先月くらいでしたか、Twitter上で「ライトノベルには解説がない。場もない」みたいな発言がちょいと盛り上がったような気がしました。「このラノ」あるやんけ。あと今なら「ラノベニュースオンライン」もあるし、自分で書きたいなら自由にやれ。歴史がないわけでもない。ぐにゃあ。「ラノベニュースオンライン」の対談記事は毎回、毎回面白いです。今年の電ファミニコゲーマーのラノベ系の対談もすこぶる面白かったです。中の人すぎる。

昨年はいくつかコメントが採用されて鼻毛が抜ける思いでしたが、今年はそんなこともないでしょう(愚者の盾)。今年は積読くずしを心がけたため、新刊を発売日に買って読むはほぼなかったです。1年間で見返すとその期間の新刊ならいくつか読めたかな、とは思いますが。読書メーターはそんな更新してないなー。1日1時間くらいはなんらか読んでました。なんつーかさ、Twitterで初速初速と中の人がつぶやくのどうなんですかね。そしてタイムラインは自己責任です。ごめんなさい。あと「即重版」。タイムラインは自己責任。

で、表紙の惹句をみるに、この10年、2010年代総括ですかー。もう2010年代が終わりですか。このあいだ始まったばかりなのでは。2010年といえば劇場版「消失」ですよ。あなた知ってた? 時間はね、加速してるのすこしづつ。1日は長く、1週間ははやく、1年はとまることを知らず、10年はなにものこさない。怖い怖い。なお、2012年に秋山瑞人「DRAGON BUSTER」2巻が出ています。続きを出さないってどういう気分なんですかね。

ライトノベル作家はデビュー後に賞レースがまったくないので、唯一のそれに近いものとして「このラノ」には輝き続けて欲しいのです。

というところで、10年総括と宣伝の話が絡まるのですが。

なんか、2010年代、ここ最近やたらめったら宣伝広告で「1位」を目にします。そんなにランキングがあるのか。そのランキングの母集団は信頼に値するのか。広告にちいさくちいさくランキングの説明がされていますが、まー、どないやねんそれは、と感じるのが多いです。私としては「読書メーター読みたい本第1位」が1位です。読まれてない。発売前の読みたいランキング?

消費者の嗜好->ランキングの流れだったのが、ランキング->消費者を刺激すると逆になったように見えます。ランキングが多すぎるし、1位以外が紹介されない。存在しないかのように。アマゾンのランキング、食べログのスコア、ホットペッパーのスコアとか。こういう、与信もしていないランキングが増え続けているのではないでしょうか。もはや「このミステリがすごい!」「このライトノベルがすごい!」のランキング論争どころではない。そういう評価に晒されていないランキングがぼこぼこ出てくる。

決めるのはしんどいので(1日にできる決断量は有限)、ついついランキングを信じちゃいたい気持ちはわかるんですよね。まんがもラノベも本も映画も外食店もホテルもなにもかもが多すぎる。決めるのに時間が必要経費としてかかりすぎるのです──。時間も有限。資金も有限。正解だけを選びたい。市民、あなたは幸福ですか? と、あんまかわらんような気がするんですよね。

ランキングの前に、好き嫌いがあるはずです。

という話。よぼよぼ。

赤い闇 「空電の姫君」かんそうぶん。

いつのまにか月はじめ発行号に移動していた「空電の姫君」でした。単行本を買い増そう。追証

今回は大人が壊れていく話と、その赤い闇の話。こわくない? 大丈夫?

なんだかんだで、マオちゃんと夜祈子さんの周りはだめんずばっかりだな、と思いました。強く生きて欲しい。

そして砂漠に寝られない夜が来る。「違国日記」Page.25はすごかったね。

「違国日記」Page.25はすごかったね。T/O

www.shodensha.co.jp

ついに砂漠に眠れぬ夜が来た。砂浜を歩きながら、足に触れるすなつぶひとつひとつがわかるくらいに鋭敏な悲しみが間に合ったからだろうか。うわぁ。これは来月の5巻には入らなさそう。入るか。どうだろう。入って欲しい回だなぁ。雑誌を読み返すたびに、胃をぐわっと掴まれるような感覚がする。言いたい言葉はこれじゃないし、聴きたい言葉はそれじゃない。嘘を持ち合って暮らしていければそれでいいのに、毎日の嘘は生きるおもしになるからしんどいよね。嘘は負債だから、時間とともに支払額が積みあがるのだ。だとしたら、最初から嘘なく生きるほうがずっとずっと安くて済む。

嘘でしか維持できない関係は、嘘だから。

そんなぐっとくる、読みたかった、いつか必ず読む回でした。

話は第1話が好きで、単行本は3巻が好きです。LIFEのノートを買ったよね。「フライドグリーントマト」も見たよね。それくらいこのまんがが好き。なんどもなんども読み返せる。

今日もまた、読み返すだろう。

anond.hatelabo.jp

マリリン・モンローはもういない。「忍」は楽しいぞ。

俺はSEGA AGES「忍」を買った。当然お前も買っただろう。真の男なら買うべき真のゲームだからだ。

archives.sega.jp

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インタビューのサムネイルが力強い。メガドラ版のジョー・ムサシだ。

忍者でもニンジャでもNINJAでもない。忍だ。このゲームでお前は忍になるのだ。

その昔、どこのゲーセンでも置いてるセガのゲーム3巨頭のひとつ(個人の感想です)。残りふたつは「モンスターランド」「コラムス」。

アトラクトデモのボーナスステージの敵忍者(敵はあからさまに忍者なのだ!)がアップになって終わるのが印象的でした。このアトラクトデモが強烈に印象的でコインを入れるんだけれど、難しくてなんとか1回だけいけるくらいでしたか。パーフェクトはもちろんむり。残念。

あとグラフィックが好みでした。主線のない絵、中間色のべたっとした色使い、リロードとかの無駄なアニメーションとか。無駄じゃないアニメーションが操作の心地よさに繋がっていましたな。しゃがみ歩きとかカタナとかケリとか。

2面のマリリン・モンロースパイダーマンとかは差し替えられたんですね。調べてみるとVC時代からの模様。3面のバズーカ男はいいのか、と思わなくもないですが(思う)。AGESモードの白装束のジョー・ムサシは面白い。3DSでスーパー忍II、メガドラミニにスーパー忍とスイッチに忍と時代がさかのぼっているのも面白い。実に面白い。激アツ。

今なら、アーケードモードのトッププレイヤーのリプレイが見られて、これがもはやニンジャ・ムービーなみにかっこいい。スパっても今は再現できないので、なんとか近づけられるように地道に遊び続けます。これくらいならなんとかアーケードモードを最後までいけなくもない可能性が無きにしも非ずくらいです。薄いな。2D6で10以上で成功くらいの薄さ。がんばります。

あと「忍」はエアロシティじゃなくて、シティキャビネットの印象しかないので、スイッチ版の壁紙が銀色で馴染み深いですね。なお、インストは横じゃなくて上(クソどうでもいい)。ああ、ここまでくると、ジョイスティックほしいなぁ……。スイッチを手持ちで遊ぶのがメインだけど……。基板はJAMMAじゃないから手が出なかったんだよな……。

ほんとスイッチで遊べて喜びしかないな!

「銛ガール」がおわったね。

「銛ガール」が終わった。全2巻。

comic-walker.com

電撃大王で毎月楽しみにしていたのに……。海と魚、命を奪うこと、人間も簡単に死にかけること。アウトドアってどれだけゆるくても、一瞬、一手間違うと命のやり取りになりますからね。

物語もさることながら、キャラクターのデフォルメのテンポが好きなんですよね。ちいさくなったり、おおきくなったり、りりしくなったり、わらったり。2巻だとP110の1コマめがとりわけかわいい。あと、ミーオのタイツとパーカー、ネクタイのきくずしかたの痛いところとか。痛い痛いよミーオちゃん……。

最終話がとびっきりかっこうよく、ずっぎゃーん! と完! となった。最後のセリフは夏子のセリフか、それとも作者の想いなのか、とかんぐってしまうほどに残念。「罠ガール」と2巨頭制にはならなかったものか。

電撃大王は2巻でおわっちゃうのが多いんですよねー。「ふりだしにおちる!」「恋の撮り方」「魔法使いと竜の屋根裏」とか。突然おわって驚くことがなんども。1回でおわったのもあったけど(触れない)。

作者は次回作も準備中とのこと。期待しています。

 

そして姫君は笑う。「空電の姫君」第1巻を読んだ話。

待望の「空電の姫君」第1巻を読み終えた。

evening.kodansha.co.jp

「夜祈子は最悪の女だった」との一文からはじめる「空電ノイズ」と同様に、「空電の姫君」も夜祈子さんの思い出の一言から始まる。

物語は、まるで「イエスタデイをうたって」からマオちゃん、「羊のうた」から夜祈子さんがやってきたかのように見えるふたりがバンドと恋と友情と未来と青春とほか大切なもの全部をないまぜにして進んでいく。それもひどくゆっくりと。いやー、すごい。おもしろい。まだまだこんなに面白くて、全身に響いてくるまんがが読めるなんて、冬目景さんを追っている楽しみがここに集約されているように感じられる。

連載だとあんまり感じなかったのだけれど、まとめて読むと、マオパパと夜祈子さんが接近しているように見えてくる。そうか、そういうことなのかー、とか。

第1話のラストシーン、シーツを干しながら踊る夜祈子さんの姿が印象的に見える。そこに重なるマオちゃんの思い出のモノローグが、それと同じ気持ちを抱かせる。これから先に幸せはあるのだろうか、単純な幸せはなさそうだと、先の雨雲と遠くの雷の音を聞きながら、この道を進むしかないのだ。

中盤のライブで笑っているマオちゃんを見て驚いた。笑顔を見たのははじめではないかな。やっぱりギターが好きなんだなぁ。

そしてあとがき。

是非幻冬舎版「空電ノイズの姫君」をお買い求めください。

と力強い一言。大切。

おそらく細かいところ、細かいところに冬目景さんの好きなものを散りばめた、たのしいまんがなので、未読なんてもったいないですよ。是非。