「トラペジウム」を見たよ、の段

映画「トラペジウム」を見た。

 

trapezium-movie.com

 

原作は「ダ・ヴィンチ」で読んでた。連載時はけっこう話題になったと思うんですが。中の人からの生々しい物語でした。「物語」なのに作者に紐づけられちゃうのがいろいろ不幸の始まりだったと思います。今。パンフレットもそう見えちゃうし。右綴じなのも印象的。

 

物語は、芸能人、それも歌って踊る女性アイドルを目指す東ゆう。強気で迷いがなく、何が何でも望む未来を手繰り寄せる膂力が圧倒的。セルフプロデュース能力が高すぎるくらい。なんだけど、芸能界ってそういう人が表に立つんだろうな、と想像してしまう。

そして主人公は運よくとんとん拍子にかわいい女子高生を3人あつめて、希望をかなえてゆくのだが、だがそれも一瞬で──。そこから先は東と、彼女があつめた3人それぞれの世界があって、それは重なっていなくって、自分の世界と同じくらい大切なんだと東に教えて終わる。タイトルの意味は、4つの星だとおもいます。物語を象徴するシーンの写真に、このタイトルをつけた工藤くんが偉人。さすが理系出身。さすが共犯者。

 

登場人物で印象的だったのが、東が最初に見つける女子高生の華鳥蘭子。作中で彼女だけが、未来に何も設定していなかったのだけれど、東と出会って、アイドル活動を経て、それを見つけ出す。他の3人は決めてたからね。あと、くるみちゃんはどれほど彼女が目立つのを拒否しても、その能力がそれを許さないと思うんですよね。

で、そのくるみちゃんなんですが。彼女が物語の折り返しのトリガーを引くんですけれども、そのシーンの羊宮さんの演技が圧巻でした。たぶん、これは、本当にわかんないので、たぶんなのですが、声の収録が先だろうから、この演技に絵の芝居がけっこう影響を受けたんじゃないかと想像します。

観客の私からすると、いつか目にするとわかっている場面だけれど、その気配から、その露出までが一瞬でした。ここまでとんとん拍子になにもかもが急流だった物語が、一気に本筋として停滞する。ここの緩急の差がすごかった。そこからの復旧と、居場所のなさと、お母さんの変わらなさと、テレビマンの古賀さんの変わらなさ(コイツの変わらなさがこの商売、あの業界の象徴だと感じる)とかいろいろ。

主人公のとっぴょうしなさがあるんだけど、りおさんのキャラデザのきらびやかさ(接写のときの瞳とその周りがとにかく奇麗)、篠原監督のかわいいを、よりかわいく見せる安心の手腕がアイドルをよりよく見せてくれます。4人そろったときの、わちゃわちゃした雰囲気の圧力はさすが。

あと、これも、本当にわかんないけど、思い返すと、とにかく全編にわたってけろりらさんの絵がずっとずっと見られたようにおもいます。パンフレットにコメントないのが残念。

 

みおわると、とにかく主人公のパワー、フィジカルとメンタル両面においての強靭なパワーが心に残る映画でした。

まっくらな映画館で見てこそ、まぶしさがより増すなぁ……。

私的コンテンツ10選

1年をまとめるのをやっと手をつける。このブログを更新するのも久しぶり。

コンテンツ、娯楽の10選なんですが、アニメとマンガしかなかったです。人格の薄さにウケる。

 

以下、順番に意味はないです。

 

1.グリッドマンユニバース

ssss-movie.net

今年か~。とにかく何もかもがよかった。雨宮監督の「俺を殺してくれ」との叫びだったように思います。友人に誘われてイベントに行ったり、聖地巡礼に行ったりしました。

 

あと、夢芽さんのワイヤレスイヤホンCMがめっちゃくちゃよかったです。「グリッドマン」「ダイナゼノン」それぞれ最終話めっちゃ好きなんですよね。実写パートとか、「南さんがかりででしょ」からの手を引くシーンとか。

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2.転生王女と天才令嬢の魔法革命

tenten-kakumei.com

アニメの1話をみて、急いで既刊全部読んだくらい面白かった。ナーフされていない版がおすすめです。いやさ、富士見書房はもともと「くりぃむレモ(以下略

アニメはとにかく脚本がよかったです。話運びであったり、セリフ、間とか芳醇な雰囲気をはらんでいて、映像に圧倒される以上の体験がありました。

これも、そのあと朗読劇にいったり、ポップアップストアに行ったりしました。アニメで6巻まで映像化されたらうれしいなぁ。あの終わり方が好きなんですよね。

 

3.BIRDIE WING

birdie-wing.net

「2期がおもしろいぞ!」と放送中に聞き及んで、1期からまとめてみて、その後は毎週毎週が楽しみだった。すげぇ! バンダイナムコピクチャーズだから何やってもいいぞ! すげぇ! ツッコミどころが多すぎて、次第に「バディゴルだからな……」で落ち着きました。

物語の最初にヒロインを出会わせておいて、その後は延々すれ違い。まるで「四月は君の嘘」のよう。そして見たかったものは形を変えて、最後にやっと見られて満足でした。

 

4.ストリートファイター

https://www.streetfighter.com/6/ja-jp

ゲームは唯一これくらいかな。モダンスタイルが遊びやすいんだけど、やっぱりコンボ入力は人間性能を求められる。練習しやすいので、原因がわかりやすく、繰り返しプレイに耐えられる作り。いろいろなプレイスタイル(というか格ゲーに対する付き合い方)を全部受け入れる大きな作りのゲームでした。

現在進行形でパッチが出たり、キャラが追加されたりする体験は今しかできないし、あの有名プレイヤーがプレイしているゲームが自分の手元にあるのが新鮮な体験でした。以前はゲーセンに行かないとだめだったじゃないですか(4からそうでもないけど)。

たまにやって、人格破壊されてコントローラーを投げつけて、忘れたころに再開するのを繰り返しています。人間性ゲーム。

 

5.鵺の陰陽師

www.shonenjump.com

今、ジャンプでいちばん好きなマンガ。現代学園の怪異モノ。女の子しか出てこねーな!

1話で爆笑、2話で混乱、3話からは忘れろビーム。毎回毎回何が起こるかわかったもんじゃないところは、週刊連載らしい雑多さ。とにかく全力で走り抜けるしかないんだよ。育ち! 主人公も作者も作品も育ちの真っ最中! 育ち!

 

6.恋より青く

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仙台を舞台にした少女漫画。同人誌のシリーズだった「他校の子」から、読み切り、ついに連載に。本をきっかけに知り合った少女ふたりが、距離感に恐怖に近い感情を持ちながらも、ときどき近づいたり、怯えて広げたりを繰り返してゆく。

自信をもてないふたりが、言葉を尽くしあう関係性が静かに静かに心地よいです。私は羽鳥さんイチオシです。

 

7.陰キャギャルでもイキがりたい!

ichijin-plus.com

くらんめちゃくちゃいいやがるな~。はてさて令和の「げんしけん」となれるか。

副次文化研究部のたった二人の部員、くらんといちこのすっとんきょうな毎日を綴る。毎回毎回くらんによる文化の説明が早口で繰り広げられる。ギャル最高やんけー!

作中で、友人たちからふたりまとめて「いちらん」と呼ばれているのだけれど、一蘭に行くやつがいるか。最高やんけー! このマンガの影響で、初めて銘柄指定でスニーカーを買いました。

 

8.鵼の碑

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ぬえネタ2つめ。

17年ぶりの京極堂の本編。短編売りはあったのに、まとまるのに時間がかかったなぁ。とにもかくにも読めてよかった。あんまりにも面白くってさくっと読み終えた。読み終えると収束性が心地よく「いい話だったなー」と大満足。こんなに分厚いのに読むのに全然苦労しない。すごすぎる。レンガ本は滅びぬのう。

次は17年かかりませんように。

 

9.ダンベル何キロ持てる?

https://www.sankyo-fever.jp/products/machine_list/pya/

 

パチンコ。「これは覇権スペックなのでは?」と思ったのだけれど錯覚でした。私は好きでいまだに打ってますが、なくなってきたのが残念。ST100%で、10%は次次回まで確定なのになぁ。「パトラッシュ」みたいな感じ。

パチンコ用に新キャラ3人追加、新曲2つ追加、リーチ用動画も新規でおこして、音声も新録でお送りするやたら豪華なコンテンツ。あんまりに面白くて、単行本全部買った。金が循環している。

ネオステラは「ありふれた職業」で最後だって言ってたのに、2024年に甘デジでるじゃないですかー! やったー!

 

10.かぐや様は告らせたい

https://www.sankyo-fever.jp/products/machine_list/pif/

パチンコ。まごうことなき覇権スペック。コンプリート機能いらねー! 21万発の夢がない。

アニメが好きだったのでニコニコ打った。ネオステラのレバブル好きだな、やっぱり。フルカスにするとぽきゅん待ちになるので、好みはあるかな。無駄リーチを見なくていいので私は好きです。ネオステラのレバブル最高(2回目)。

こちらも新曲が2つ。女子勢全員と藤原書記ソロ。配信まだですかね。

1ゲーム目で当たったり、ふりわけ1%の全回転引いたりしましたけど、全然連荘しねーのなー。藤原書記が渋い。渋すぎる。こっちはまだまだ来年も打てそうです。

 

 

 

来年は小説をもっと読みたいし、プログラムをもっと書きたい。目標は早めに立てましょう。

それではまた。

「グリッドマン・ユニバース」を見たんですわ。

グリッドマンユニバース」を見たんですわ。

ssss-movie.net

映画版でドメインとったのか。すごいな。

 

内容は、タイトル通りのグリッドマンユニバァァァァァァスでした。ええ、もう、SSSSグリッドマン最終話Cパート、UNIONのMVが大好きすぎるので、ひさしぶりのご褒美でした。Sグリッドマン最終話なんですけど、後半全部実写で見たかったくらい好きなのですが、足りないくらいがちょうどいいと納得していたところに、MVですから、びっくりです。これがみたかった。

 

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このシリーズは、アカネくん、ゆめさんといい、重い女がいっぱい出てくるな! よもゆめ妄想大好きです。劇場で、グリッドマンとダイナゼノンを合わせてみると、ダイナゼノンはグリッドマンでやり残したいろいろを全部やったんだな、とつくづく感じてました。そりゃ劇場版のラスボスはあいつになるわな。マイトガインかよ。ビッグオーかよ。レヴュースタァライトかよ。

 

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みたいもの、みたかったもの、知りたかったもの全部入り。シリーズとしてまだ全然若い(原作のぞいて)ので、情報量としてついていけるんじゃないかとか思ったりしてました。知ってる人には満額回答、知らなくても十分楽しめる(有料記事っぽいな)。

 

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映画の主題歌MV。これもめっちゃいい。見ると泣いちゃう。ない記憶が刺激される。未来はいいなぁ、とつくづく思える。

SSSSグリッドマンの最終話Cパートが好き。SSSSダイナゼノン最終話Cパートの「あんなもん、似合ってたまるか」と嘯くちせが好き。「南さんがかりでしょ」と言われる、言わせる雰囲気が好き。そのあとの夢芽の手だけ光が当たっているシーンが好き。はずかしいくらいがちょうどいいのが好き。

 

映画を見ていて、毎週見ていたあの時間はほんとに楽しかったな、と考えてました。

マジ好き。

シン・仮面ライダーをみたんですわ。

シン・仮面ライダーをみたんですよ。

 

www.shin-kamen-rider.jp

 

めちゃくちゃ面白かった。

仮面ライダー、というか、当時の特撮番組って、だいたい恐怖をまとっていたと思うんですよね。仮面ライダーだと、話数タイトルだいたい怖いし。シン・仮面ライダーはばんばん人が死んで、ばんばん血を吹く。なるほど怖い。緑川教授がちゃんとろくな死に方をしなかったのも高得点。

あと、私が榎本佑を好きすぎるので、それ込みで楽しかったです。

 

今の仮面ライダーを知らないので、それと比べて、現在性があるのかわからないな。とか、庵野監督のシンシリーズだと、どうしても、自分の情報が足りているか、との不安が背後にのしかかるんだよなぁ。

それか!

 

シン・修羅雪姫でお会いしましょう。

冬目景 原画展 に行ったんですわ

冬目景さんの原画展に行ったんですわ。画業30周年。すごいです。なにしろ30年かかりますから。

 

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第一に「おたがい健康で30年いきたかぁ」と、労をねぎらった感じ。なんだそりゃ、と同時に思ったけれど、30年過ぎたと知ると、第一にそう思うお年頃なんです。とはいえ、思い返すと、私が冬目景さんを知ったのは「ギガウイング」(イは大きいから注意だ!)なので、20年ご一緒の換算です。

 

記憶をたどると、デビュー前のコミックバーガーは「甘えじゃんねえよ」がやたら好きで読んでましたが、なんかすこーんとそのあと読んでない。軍人くん、超人ロック、あくあ・すてっぷ・あっぷとか読んでたんだけどなぁ。単行本で読んでたんだろう。当時の自分を覚えていない。あと、どこでも載ってる超人ロック。そして1999年に「ギガウイング」、ゲーメストの表紙も何度か。「ギガウイング」についてはまたこんど。

連載を読んだのは明確に「幻影博覧会」から。

 

原画展では、「ももんち」のアクキーが買えるんですよ! マストバイ! 「ももんち」の原画もありましたし! 「ももんち」の良さは、1冊であること、単行本のカラーの良さ、カバーの紙の良さ、本編の紙の良さと読むだけじゃない体験が好きなのですが、連載中から毎回、毎回異常に好きでした。掲載時だけスピリッツを買ってたもんな。いい話なのは当然なのですが。あれ、愛されまんがですね。勝手に言いますが。

 

展示されている原画は「羊のうた」から「百木田家」まで。おなじみに「羊のうた」1巻のカンバスに書いたカバーイラストもちゃんと掲出されてました。よかったよかった。メモ帳のラフ、ミニ色紙が相当数掲出されていたのがカイマンらしいですな。すべて売却済でした。夜祈子さんの新規絵があったのがうれしかった。「空電ノイズ」が大好きなので……。テレビイエローのギブスンレスポールスペシャルが印象的なまんがでした(「けいおん!」「ぼっち・ざ・ろっく!」もレスポールですな)。連載時との加筆修正が結構よくってよくって。「空電ノイズ」の16話のカラーページが見たかったな。単行本だと1色なんですが。

 

あと、モデルグラフィック掲載のケンメリGTRの作例展示もあって、じっと見てきました。ちょっと怖いので距離を取ってました。突然、自分が発狂しない自信がないです。当然ながら原画に対しても、そう思うので、あんまり近寄れないですね、はい。

 

行ける人は行くべき催し物です。

終焉のラッパ このラノ2023かんそうぶん。

このライトノベルがすごい!2023」が発売されました。安心のブックガイド。あとは文庫の王国を待っています。

 

tkj.jp

 

ランキングは1位と2位が僅差。本当に僅差。2位の「チラムネ」がすごいっすわ。「よう実」はやっと1位に。差し切った。Web投票1位なのだから、読まれて1位。アニメ2期にも触れてやってほしい。

 

事前の私の雰囲気としてはガガガ一強かと思ってましたが、トップ10は、MF,ガガガ、電撃、スニーカー、ファンタジア、GAと、強いのは強い結果に。新作は協力者、既存作はWeb投票で強い。くっきりしてるな、と毎年の感想。

が。

今年は、この結果発表の後作家先生からの打ち切りの発表が相次ぎ、「このラノ」で取り上げられても打ち切り(そんなのとっくに決まっているとしてもだ)、だとするなら、ランキングにひっかかりもしない諸作は、延々打ち切り山に積みあがってゆくわけで、生き残った作品との差とはいったいなんだったのか。「マンガヤ」を思い出しますな。もしくは「銀の匙」。

 

とりあえず、インタビューは全部読み終わったので、作品紹介、コラムなんぞを読み進めるとしましょう。このラノ読むのに時間がかかる。

「すずめの戸締り」と

映画「すずめの戸締り」を見た。

 

見終わった最初の感想が「いい映画なんだろうなぁ」だった。確かにラストに続くシーンを泣きながら見ていた。理由なく泣けた。いや、理由はある。ただそれは誰にも言えない。

映画は、始まって数分でもう面白いし、ものっそい速さで、あっという間に東京破壊衝動へと突き進んでゆく展開は痛快だった。

「天気の子」はどうしようもなく世界をめちゃくちゃにした物語だったけれども、「すずめの戸締り」は、数人以外にはなにも起こっていない。いや、そうではなくて、現実で起こった後の「戸締り」についての物語なわけで、このあたりの地続きさについて、なにかを言うのをためらってしまうからか。

 

あと、もう、たぶん、フリーク向けの埋め込まれた情報を一切拾えていないから、拗ねてるんだろうな。面倒くさい人だ。

そして、その私は、パンフレットの最後のスタッフ一覧の文字が小さすぎて読めなくなっていました。