今週の一気読み 今井哲也「ハックス!」

今井哲也ハックス!」を一気読みしました。全4巻。4巻だけちょっと厚い。それは熱量。

 

友人に教えてもらったこの漫画。私の中の大切な一部分です。ときおり4巻だけ読み返すのだけれど、ひさしぶりに全巻一気に読み返しました。まだこの漫画から熱を感じられるのであれば、自分は立っていられます。いつの日か、まぶしいとだけ思ったり、若いなーとかおもったり、まともに見られなくなる日が来ると思うのは、悲しいのですが。

物語は、主人公の女の子が高校入学から始まる。新入生歓迎会でのオープニングアニメを見た瞬間に、自分もやってみたい! とアニメを作るために走り出す。あこがれたものに、追いつきたいとすぐに走り出したり、自分もできると信じてみたりする。その行動の熱量がもうね、すごい。読んでるとそわそわする。

 

これが部活、学校内なのが、残酷だ。お仕事モノであるなら、その場を立ち去りプライドを守れる。彼女に焼かれないように距離をとれるだろう。でも、学校だからそれができない。避けられない不幸がどうしても起こる。

4巻は冒頭の過去話から始まり、知らないけれど見ている人がいたり、そしてなにより、自分の行きたい道の先を行く人と出会える。この1冊だけで、ぐわんぐわんと揺さぶられる。

初めてこの漫画を読んだときは、タイトルの意味も拾い損ねたくらい、夢中になった。読み終わって、読み返して、タイトルの意味に気づいたかな、どうだろう。

プライドが邪魔をする。そういう人がいる。本人もわかってない。かもしれない。これについて考えると、自分の中もぐちゃぐちゃになる。自分はどうだろうか、とばかり考えてしまう。楽しいことをやったもん勝ちは絶対に正しい。それをみて「自分だってすぐにできる」と考えてしまう人はとても危ない。

なにもかも、すぐにはそこには行けない。でも、やるのはすぐにできる。できない理由ばっかり用意していないか、と考えてしまう。

 

主人公は次から次へと湧いて出てくる、できない理由をねじ伏せて、助けてくれる仲間に出会う。でも、私はその本筋よりも、主人公には伝わらないけど、影響を受けてやりはじめる、もうひとりの女の子の物語が大好きだ。やってしまうと、ビリヤードの玉のように、かちん、かちんとぶつかって、影響しあってゆくのは避けられないのだ。

いろいろ、どうしようもない時に、読み返したくなる漫画で、好きなところだけ読み返しても十分だし、一気に読むと頭の中に刺さりっぱなしのカセットが入れ替えられるような心地よさがある。