現在のゲームはボタンが多すぎてクーソーしている隙間がない。

ゲームプレイ中の想像力は昔も今も刺激されてるんだけれども、コントローラーのボタンが多すぎてプレイ中は想像している隙間がない。後からゆっくり想像する。しかできない。

 

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グラフィックの進化よりも、コントローラーの進化とそのボタンを使い切ろうとする操作系の進化のほうが想像力をおさえつける圧力を強く感じる。ひととおり操作をお覚えるまで、ゲームが用意したチュートリアルだけじゃ足りなくって、チュートリアルが終わると操作すべてを把握、修得した前提で進んでいくのがしんどい。

昔のゲームはグラフィックよりも、ボタンがすくなく、結果として操作量というか、プレイヤーが修得する操作が少なかったので、チュートリアルがなくても成立していた。十字キー+ボタン2つ、ゲームセンターなら1レバー+ボタン2つ(JAMMAは最大4つ)、格ゲーならボタン6つだけれど、操作としてはパンチとキックの2系統。

操作は増え、画面上のゲージは増え、数字は増え、ミニマップが表示され、そのうえで他プレイヤーとチャットをする。移動、選択で十字キー2つとアナログレバー2つを使う。加えてタッチパネルだったり、コントローラーを傾けての加速度入力もある。

昔々PS2が最新機だったころにゲームをまったく遊ばない友人が頻々に自宅まで遊びに来た。そいつはゲームを遊ばないのだが、グラフィックを見るのは好きで、だから見るだけで、そっちそっち! とか、アイテム出た! とか、下手だなやらせてみろ、とかが全くなかった。私がプレイしているのを見るだけ。そばでマンガを読みながら、時々画面を見る。

友人が画面に目をやる契機は、音楽が盛り上がってきたり、私のコントローラー操作音がうるさくなってきたりだった。

その友人の言葉で、コントローラーをせわしなく操作する私の手を見て「蜘蛛みたいだな」と言われたのを覚えている。強烈に覚えている。PS2のころで、十字キー1つ、ボタン4+肩ボタン4つ、アナログレバー2本を使いこなしてプレイする様は確かに蜘蛛だ。

あたらしいゲームを開始して、その最初は操作を理解して、覚えて、画面をみて、思い出しながら入力する。そのうちに頭の中にショートカットができて、この状況ならこの入力、と手が動くようになる。操作の一覧テーブルが脳内に完成されて、画面表示をインデックスとして、操作に反映されているような気分を思い出す。ここまで操作を把握して、やっと製作者側が用意した、操作すべてを使いこなすような先の展開に対応できる。製作者はそれこそこのゲームをずっとずっとプレイしているため、その操作がどれくらい難解なのか想像してないんじゃないかと恨みすらするゲームもある。お前のことだぞSNKの格ゲーのCPU。超必殺を決めてくんな。たまにはコマンドミスって意味もなくジャンプキックとかしろよ。あとカプコンのヴァンパイア。リリース直後のワンコイン目でチェーン決めてくんなよ。これくらいしないと100円巻き上げられないんだろうと想像はしますが。

チュートリアルで「はい、わかったよね、ここからそれができる前提で進むから!」なのもかなりキツい。「メタルギアソリッド」がこれだった。特にピースメーカーがきつかった。CQCがつらい。メタルギアは操作をしくじると致命的ペナルティにつながるので、その緊張感からくるストレスと、結局ミスって操作を覚えていくしかないのがしんどかった。

見えないタイミング系もしんどい。これこそ体で覚えるしかない。格ゲー全般、スマブラとか。格ゲーは基本操作がまだわかりやすいので、そのうえでじゃあこれを覚えればあなたは二段みたいな感じはする。気配で察しろ! みたいな達人の域。

ユニットが増え続けるSRPGでは、全ユニットのパラメータを把握して、成長を計画し、装備を整え、マップ戦闘中は移動範囲を把握し、ほかのユニットとの効果的位置取り、敵ユニット情報を取得し、全体の方向性などを検討しながら、パラメータウィンドウを表示、読み取り、ミニマップを表示し、指示を入力していく。なかなかにしんどい。手早く入力するには、ショートカットキー、ショートカットメニューを理解する必要がある。

そして、やっとゲームについて想像する。大体のゲームは物語があるから、先を想像したり、期待する。シューティングゲームだったらパターンを想像する。試す。「頭文字D」ではないが、アイデアを100思いついて1つでも有効だったら成功だ。

想像する前にコントローラーが邪魔になる。ゲームの上達の絶対条件が操作の習得、熟知、理解、熟練。シリーズものでも操作方法は変わり続ける。ハードが変わると、また全部やりおなしになる。

コントローラーにボタンが増えるのはよしとして、ゲーム側はそのすべてを使い切るような仕様にするべきなんだろうか。必要があるのだろうか。

ゲームと想像力、そのための没頭について考えるとき、現在のコントローラーの複雑さについては疑問を感じるのです。

ではまた。