紫陽花の季節に「あさがおと加瀬さん。」を見るということ。

公開中の映画「あさがおと加瀬さん。」を見た。2回見た。

昨年公開の短編アニメの延長線上にあるOVAの劇場公開なんですけれど、先の短編アニメはミュージッククリップだったのですが、今回は物語がある! ぜんぜんちがう! のです。

このアニメ化のうれしさの中でも、とりわけ加瀬さんの声が! もう、ほんとに、バリネコofバリネコ(個人の見解)にしか聞こえなくって、最高です。

内容は「あさがおと加瀬さん。」のタイトルですが、原作の「おべんとうと加瀬さん。」と「ショートケーキと加瀬さん。」収録の短編を時系列に並べ替えて、間を付け加えた感じ。山田視点からの風景だと思える、水彩画の世界に、加瀬さんが登場すると、その視界に降り注ぎ、はじける「加瀬さん粒子」がとても、とてもまぶしいです。山田からみる加瀬さんは、こんなにも輝いていて、一瞬で世界をかえるのだなぁ、と。その微熱が伝わってきます。ほんとに、ちょっとした、暖かさ。一瞬で砕けて消える暖かさなんだけれども、途切れず降り注ぐ、暖かさ。そしてなによりまぶしい。さっきまで平坦だった薄い色の世界が一瞬で色づく。原作まんがも山田よりではあるのだけれど(Wings本誌連載はなんとなく加瀬さん視点)アニメははっきりと山田の世界。

ああ、もう、ほんと、この原作との「調子」の違いに価値があると思うのです。コマのおおきさや、キャラの崩し方で調子を作るまんがとは違うのは当然なんですが、アニメは声、音、明暗とかちょっとしたことだったり、明確な演出だったりで、山田の世界を作り上げてるのです。

続編あるのかなぁ。近作ですけど「粉雪と加瀬さん。」のカメラを構える山田のシーンが大好きなので、動画にならないかなー、なんて期待してます。あと、ぜんぜん関係ないけど、エンディングスタッフロールのフォントはなになんだろう……。手書きなんてのはありえないんだろうけど、風味のあるフォントで、見終わった心地よさに一役かってると思うのです。