なんとかオンラインについて雑感オンライン

ここしばらく「○○オンライン」系を立て続けに読んだので、その雑感を。

読んだのを挙げる。

  1. スクールライブ・オンライン 木野裕喜
  2. ウォーエルフ・オンライン 長物守
  3. ガンズバースト・オンライン 星崎梓
  4. ソードアート・オンラインオルタナティブ ガンゲイル・オンライン サードスクワッドジャム ビトレイヤーズ・チョイス(上) しぐさわ

雨蛙ミドリ「オンライン!」も入れれば完璧である。なにがかは判らない。

まずそれぞれを手に取った理由を述べる。

  1. タイトルが好みだった。以後SLO
  2. 「中古でも恋がしたい!」の新刊を買いにいったら横にあったから。以後WEO
  3. ガンゲイルオンラインを買いに入ったら目に入ったから。以後GBO
  4. SAOを読んでいたから。以後「SIGO」

まず、なんとかオンライン、というタイトルが好きなのだ。目に付くと読むようにはしてるつもり。ただしアリシゼーション編はずいぶん読んでないが。終わったら起こしてくれ。

ビデオゲームが大好きで、だが、オンラインゲームは経験が皆無。これはもう、単に時代の問題だと思い込んでいる。たぶん最初に遊んだのはウルティマオンラインだとは思うのだけれど、あまりに思ってたのと違ったのですぐやめた。

という、忸怩たる思いも手伝って、オンラインゲームが舞台のライトノベルは好みだ。読み終わって「こんなゲームで遊びたい!」と思いたいし、すぐさま、なにかオンラインゲームをはじめたいと思いたい。SAOはそこが秀逸で徹頭徹尾、ゲームだ。パラメータの話だったり、硬直時間、スキル、ゲーム中の会話などなど。デスゲームではあるのだけれど、犠牲者がゼロ、全員クリアの可能性がある。大体のデスゲームは生き残るのが一人だったり、ルールがPKだったり、主催者側がPKかけてきたりと、あまり楽しいとは思えないのが多い(コロコロアニキにもデスゲームまんがが2つ連載されているのがとても違和感がある)。この手の嚆矢は高見公春「バトル・ロワイヤル」だろう。あの時は選者の寸評に「面白いが世に出すのははばかれる」とあったのだけれど、今となっては隔世の感がある。ヤンマガ、すげーな、おい。

この中でSLOだけはフルダイブMMOではない。ヘッドマウントディスプレイに表示されたグラフィックを見てプレイしている。ただし操作は脳直だ。他の3作はフルダイブなのでもはや現実である。岡島二人「クラインの壷」を思い出させる。

このデバイスの違いは作中のダメージに対する表記の違いとなる。SLOではほぼ数値のやり取りとなる。川原礫アクセルワールド」のHPゲージのやり取りに近い。あくまでゲームだ。死にがえりも選択肢の1つとなる。また、登場人物たちがこのゲームをプレイする理由も用意されている。

WEOとGBOは設定がよく似ていた。主人公には事故で意識不明となった妹がおり、VRMMO世界で彼女に会うために戦う。ゲーム世界の敵も同じような存在だった。残念なことに、設定が整理されないまま物語が進んでいくため楽しめなかったところも同じだ。プレイする理由としては悲壮感が漂い、強力なのだけれど、それだけに主人公がただただ強力なパラメータと武器だけで勝利していく展開との相反する雰囲気が最後までなじまなかった。正直途中で「今日泊亜蘭かよ!」と口をついた。また、この2作はまったくゲームであることを感じさせない点も似ていた。

 SIGOは作者の愛の粉塵で何も見えない。毎回毎回おんなじ内容。なぜ読むのかと考えると、これはリプレイなのだと気づかされる。TRPGのセッションリプレイのように楽しめるのだ。リプレイであるため、ゲームであることを忘れていない。ソースとなるGGOのルール、設定を正確に踏襲している。別件だが2色挿絵がどんどん黒くなっていくのだが怖い。

WEOとGBOはどちらも医療としてフルダイブを扱っていたのも象徴的だ。SAO「マザーズロザリオ」のように、フルダイブ技術が医療用を中心として発展するのだろうと想像はできる。SAOだとハードウェアの変遷、技術的裏づけ、ゲームとしての仕様などなど、コンピュータシステム構築の経験、作り手側の経験があるように見えるのだけれど、WEOとGBOはプレイヤー側の経験のみに見えたのも、いまひとつ世界の厚みが感じられない理由。樋口司「ダブルアクセス」を思い出すなぁ。

ゲーム小説、リプレイとしてみると聴猫芝居「ネトゲの嫁~」金田一蓮十郎「ゆうべはお楽しみでしたね」も面白い。プレイヤー側経験から書くのであれば、ゲームのある暮らしをテーマにしたほうがいいんじゃないかなぁ。無理して作者に経験のないデスゲームにしても、砂上の楼閣の屋上屋で終わってるようなのが多いのが残念。なのだけれども、これからも読み続けるのでしょう──。

まつだは「ヒルデさん」の新刊を楽しみにしています。課金はまったくしませんが。