ふれる 「青に、ふれる。」

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あらすじは上記サイトに任せた。とにかく、いろいろ「今」を乗せたラブストーリーだ。まじオススメ。

その「青に、ふれる」の第1巻が発売された。上掲の作品ページでは主人公は顔を隠しているが、1巻ジャケットイラストでは、そんな小細工なく、正面からの強いまなざしをこちらに向けている。公式サイトに1巻の紹介がみあたらんのだが。なので、書店で見て欲しい。めちゃコミックで連載中だけれど、月刊アクションでも連載中。1巻で連載に追いつくので、ぜひ単行本を読んで欲しい。

誰だって、言い訳をもっている。この主人公のように痣がなければ、のように。目が、耳が、声が、手が、足が、肌が、などの先天性、同様に事故などでの後天性、他にも、もっと顔が整っていれば、頭がよければ、運動ができれば、背が高ければ、やせていれば、などなどいろいろ人それぞれに、言い訳を持っている。それは外に出さないように、それでも、なにかともらしてしまう「何か」だと思う。それを囲って生きていくしかない、和解するしかないし、可能なら解決するのかもしれない。

「青に、ふれる」の主人公は中学時代に登校拒否となり、1年間フリースクールに通った。外に出るだけで十分すごいのだけれど、1年の間に受験対策をすすめ、作中では高校生として全日制に通っている。もう十分に痣と和解しているように思えるのだが……、というところから物語が始まる。

印象的なシーンは2つ。

ひとつはフリースクールのシーン。あのフリースクール特有の湿度の高さが絵から感じられる。むせるような、あの湿度の高さはフリースクール特有だ。十分な資金支援がないため、施設は狭く、不登校児は増える一方である。善意で成り立っている側面も強く、私の経験としては、やはり、あの湿度の高い空気の記憶を刺激されずには読めなかった。それくらい、そのシーンに嘘はない。

もうひとつは単行本ラスト。「ずるい」と攻める/責めるシーン。生きていれば、たとえ、どのような経緯があろうと、立場が、関係があろうと、どうしようもなく、攻撃的になる、攻撃を止められない、感情が前に出てしまう状況には陥ってしまう。それは罠で、見えていて、それでも、その罠にかかることで、自分を被害者として設定して、攻撃を放ってしまう状況は、避けようもなくあるのだ。生きるとは、どれほど、自分と和解していても、それが和解した「つもり」であったり、「和解しなければならない」と理解しているだけだったりと、心底、人格の一部として溶け込むほどに「許す」のは、簡単ではない。それがむき出しになり、あれほど自分を攻撃した男をうんこ野郎とののしっておきながらも、主人公は、攻撃側に廻ってしまう。それも、反撃されない位置から攻撃してしまう。すべて理解して、攻撃を止められなかった、その気持ちが、あまりに重くて、また、自分の体験を引き出して、さらに重く感じられた。

と紹介すると、重いまんがみたいに読めるけど、ラブストーリーなんで、きゅんきゅんしながら読んでください。なんかもうね、そうね、幸せになって欲しいとだけ、全ページ、毎ページ祈りながら読んでます。

ではまた。