「空電の姫君」と「空電ノイズの姫君」と。

イブニングで「空電の姫君」として連載が再開された! ひゃっほう! しかも1話、2話と連続掲載! 「黒鉄・改」のようなリスタートではなく、バーズのまんま続きで喜びもひとしお。

1話のカラーページの歌う2人の姿にもう涙がでるくらいうれしい。夜祈子さん俯瞰から寄り、そして2人の姿と続く展開はミュージックビデオですよ、これ。目線をこちらにむけた夜祈子さんとギターに懸命なマオの表情の違いが、いまのふたりの音楽への姿勢が見えるようです。
と、このあとから本編。スマホのタイマーでおきるマオから始まるのですが、ZZTOPのTシャツで寝てるとはさすがです。そのあとも「目覚まし天国への階段からサティスファクションに変えた」といかにもマオらしい日常が続いて、まー、ほんとに「空電ノイズの姫君」が再開したんだなぁ、とぼんやりしてしまいます。なお、天国への階段のイントロは二度寝しちゃうの判る。
そのあとにギターソロを練習するマオのシーンが圧巻! 擬音、音符をいっさい書かずに演奏する彼女を次第によっていくカメラで見せます。カッケー! ロックバンドに何より必要なのはかっこよさですよ、ほんと。「空電の姫君」はそのタイトルロゴからもうカッケー! なのです。絶対必要。このかっこよさ。
そして最後には同様に歌う夜祈子さんのシーン。ただただ楽しそうな夜祈子さん。
第1話は初ライブでの失敗から復活したマオの強さが印象的な回でした。

2話は夜祈子さん回。
扉から夜祈子さん。レザージャケット姿の夜祈子さんがカッケー! いや、またですけど。「空電ノイズ」とは変わって、全体的にかっこいいんですよ「空電の姫君」。
マオからもう歌わないのか、と聞かれる夜祈子さんが、変なポーズをとってるんですが、以前にマオも父親から変なポーズといわれてて、このふたりはいいなぁと、ここでまたため息です。
そこからは夜祈子さんの話に。冬目景の黒髪ヒロインの宿命、過去話です。また少しだけ、血の記憶が出てきます。歌わない、目立ちたくない彼女の気持ちはここからきてるのでしょうか。なるべく幸せになって欲しいと願います。

そして「空電ノイズ」の第3巻がでました。出てよかった! カバーイラストはギター侍ようなポーズのマオ。これの巻頭にカラーイラストが収録されていて、コミックスでは2色だった第16話のカラー扉が見られます。これだけでうれしい! このために紙が違うのかもしれません。詳しくないですが400キログラムくらいの厚さですね。
これに収録されたあたりから、夜祈子さんのポンコツらしさが出てきたように感じます。けったいな表情とか。頭脳パンの表情とか、「それはそれで厄介なんだよ」という表情とか。マオと居るときは、何か忘れたいものを忘れられているのかもしれません。
最終話の第21話がやっぱり何度読んでも寂しく感じます。扉ではしゃぐマオの姿がとりわけ寂しさを感じさせます。バーズで読んだときの気持ちを思い出しますが、イブニングで連載が再開された今なら寂しさが和らぐかと思ったのですが、そんなことなかったです。連載で読んだときの気持ちがしっかり再生されて寂しいものでした。

月1連載となった今、なるべく長く続いて欲しい物語です。ふたりで弾いて歌って欲しいなぁ。