「好きって言えない彼女じゃダメですか?」がさすがの玩具堂だった。

 

ひさしぶりの玩具堂の新刊「好きって言えない彼女じゃダメですか? 帆影さんはライトノベルを合理的に読みすぎる」。こうしてまた玩具堂の新刊が読めるだけでうれしいのですが、内容がこれまた好みで、いろいろ紆余曲折あったのだけれど、戻ってきた感覚でした。いいのよ? それは。「子ひつじ」以来の学園モノなので、作者としては葛藤があったのかな、なんてかんぐってしまいますが。いいのよ? それで。

物語としては、北村薫ばりの文学ミステリです。ライトノベルジャーゴン、ハイコンテクストを文芸部の帆影さんが人類の歴史へと落とし込んでいく、ダン・ブラウンばりの謎解き……! ライトノベルが紐解く人類進化の歴史の謎とは……?!

というのはさておいて。

無口読書系ヒロインがキマシタワー! 玩具堂の言葉使いの才とあいまって、そりゃあもう、本よまな……! という気持ちなること請け合いです。

冒頭の引用は「クローディアの秘密」。調べてみたところ日本語版は岩波少年文庫版しかないんですね。これ、めずらしく邦題がいいんですよ。

「クローディア」は退屈から家出した女の子がメトロポリタンミュージアムでこっそり暮らすお話です。私は深夜の噴水でコインをあつめるシーンがどきどきして印象的でした。

今回のその引用はおそらく異世界転生モノへの言及かなー、と。異世界家出。「86」の「高瀬舟」、「ソードアートオンライン」の「トロッコ」、「読者と主人公と二人のこれから」の「第七官界彷徨」、「三角の距離は限りないゼロ」の「スティル・ライフ」とか、引用が好きなんですよね。読んだ本が出てくるとちょっとうれしい。なんですが、章題、本文の引用、パロディっぽいのが見えるんだけど、ぜんぜん元ネタ判らないのがつらいっ……。

というのも、全部さておいて。

最後の最後。ホントに最後のエピローグがめっちゃくっちゃいいんですよ、これ。読み終わると、ホウ、と一息つきながら、またページを戻ってそこだけ読んでしまいました。やっぱり、友達といえばあだ名だとおもうんですよ、私は! ホカちゃん……! わたしも砂糖を吐くよ……!

つづきはよ……!