ともかく「ライアーバード」を読め。

脇田茜「ライアーバード」の4巻がでた。完結巻だ。全4巻。いっき読みに最適なので、この機会にぜひ読んでほしい。

たぶん、一気に読んだらごっそりHPをもってかれると思うけど。

雑なあらすじは、京都を舞台にした、音が見える共感覚の少女コトと、自分を裏切った過去のすべてをすてさり、京都とギターに逃げ込んだ少年ヨタカとの出会いと衝突と音楽の物語です。

共感覚から音が見え、また加えて耳がよく、一度きいた音楽は、たとえその演奏がひどいものであってもギターであれば再現できる才能を持つ少女、コト。だけれども親に捨てられたため、ひどく幼稚で感情を制御できず、言葉よりも先に手足が動いてしまうため、社会の中ではなにをやってもうまくいかなず、自信がない。

一方のヨタカは過去に離婚した両親から捨てられ、音楽で出会った仲間からも捨てられ、それゆえに誰も信用せず、社会に期待をしていない。そのさめた態度と裏腹になぜかほっとけない雰囲気からか人に恵まれ、バイトとバンドと社会生活には問題がない。

偶然であったふたりが交わすのは「あいつは自分がほしいものを全部持っている」という、身勝手さからの衝突だった。

しかし、ヨタカのギターにコトの歌声をのせる楽しさを知った2人は音楽を通じて、自分を理解し、お互いを必要としていくのだが、そこに過去にヨタカをうらぎったバンドメンバーのカホトが現れる。

カホトのバンド「ベンヌ」の音に魅了され、その音を自分の声で服従させる喜びを知ったコトは。

というところまでが最終回手前くらいまでのあらすじですかね。

でも、この漫画を、こんな雑なあらすじくらいで読んだ気になってほしくない。

音が見える。

ただこれを見せるためだけに、作者がHPを削って、篭めて絵を描いているのだから。とにかく読んでほしい。

いろんな形で、矩形で、羽で、円で、多角形で、シロとクロで、ページいっぱいに「音」を書き尽くしている。繰り返されるそんなページたちからはもっと描ける、こんなんじゃない、見えている音は、見せたい音はこれじゃない、そんな悔しさも見て取れる。

そんな圧倒的熱量に圧倒されてほしい。でも、だから、いっき読みだとHPをごっそり持っていかれるだろう。それも心地いいけど。そして完結したいまなら、いっき読みしたときに、「それ」に気づいて、またぞっとするだろう。

 

全4巻。

かかれているのは一瞬の出来事。

テーマソングはビートルズの「ブラックバード」。

傷ついたブラックバードはそれでも、あきらめず、折れた翼で飛ぼうとするのだ。

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で。以下、ネタバレみたいなもの。

最終回なんだけど「東京にでて1年がたちました」と一文が入るんだけど、単行本だとそれがないんすよね。だから最終回がちょっとわかりにくいような気もした(ちっさく日記中に記載があるけれど)。最終回のカラーページはよりよく収録されている。これがもう胸を打つんだ。カーテンコールのようなカバー下も楽しい。

これで終わり。全部終わり。