冬目景原画展に行った

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冬目景原画展 冬・絵展 vol.9

4年ぶり開催の冬目景原画展に行った。青山。青山ですよ。青山っぽいはたらく人がいっぱいいて、こうした努力で青山は守られているのだと感じました。

この4年間で「イエスタディをうたって」が完結し、「黒鉄」が連載再開(最初からやりなおし)となったりと一区切りのような、片付けにはいったかのような印象を受けました。

展示内容は連載中の「空電ノイズの姫君」「黒鉄・改」「旧車GIRLS」からと、これまでの連載、展示会から。

羊のうた」1巻カバーイラストなんて20年前の油彩(たぶん)があったり、旧「黒鉄」のこれも1巻カバーイラストも。「黒鉄」はくるみのイラストだったので、背の部分が割れてたり(もともとだと思うけど)して、時のすぎたるを見たような気持ちでした。いやさそれにしても「羊のうた」1巻のカバーイラストは、原画と書影が比較できて、その色の違いというか、やっぱり時間がたったとおもえるのよね。

展示でいちばん心引かれたのは「空電ノイズの姫君」#16扉の見開き。カラーだっけか。表紙&カラーだったような記憶。それが単行本だと2色+背景ありに差し替えられていて、それもまたそれまでのカタログ写真のようにばっちりキメた絵ではなくて、これだけ日常のスナップ写真のような一瞬が書かれている。うたう夜祈子さんと、エアーギター中の磨音の2人のすがたに、物語の将来を期待したり。連載はいまちょっとつらいところなだけに、この1枚が思い出にならないことを祈るばかり。この1枚だけずっとみてた。ほんとに。他に人がいないのをいいことにずっと。

2巻のカバーイラストは色使いが印象的。本だとほとんどわかんないのだけれど、制服の光があたるぶぶんに、これでもかと明るい白が盛ってあるんですよ。他のバーズ表紙も同様で、制服の光沢の部分にガシガシ白が盛ってある。それも、浮くような、画材のもともとのような、白。こういう絵に載せた作家の意図、思いは、原画を見ないと気づきも想像もできないな、と足を運んだ価値が1つふえたような気持ちに。

どれもこれも、どの絵も、記憶に「カリッ」と音がするような1枚ばかりでした。なので、いまのうちに行ったほうがいい。ファンレターも書いたほうがいい。

ではまた。4年後に。

「その着せ替え人形は恋をする」がめっちゃ面白い。

「20センチでヨロ」

www.square-enix.co.jp

ヤングガンガンで連載がはじまった「その着せ替え人形は恋をする」なんですけどね、これがもうめっちゃ面白いんですよ。そりゃヒロインはウケを煮しめたようなキャラクターなんですけれど、そんなの好きになるに決まってるじゃないですか。物語はまだぜんぜん恋をしてないんですけどね。

今売りのヤングガンガンで#5なので、まだまだこれからっスよ。紹介は上の公式サイト参照ヨロ。

3月のミスボド

キリ番踏んだらカキコヨロ。

2018/3/24はミスボドでした。大田区民センターでは最後の開催とあいなりました。天地人が揃ったようなミスボドの始まりだったように思い出してました。

終わってからのこの1週間は、珍しい思い出でも披露したほうが記念碑的には正解なのかと考えてました。

ミスボド主催のあきやまさんと初めてアナログゲームを遊んだのは、とあるミステリ系イベントの二次会の宴席だったでしょうか。遊んだゲームは「藪の中」。当時発売されたばかりだったような気がします(調べない)。ちょいとルール理解をミスってしまいゲームが冗長になったのも今となってはいい思い出といえば許されるはず。

ま、そんなところでしょうかね。あの「藪の中」発売当時のバッシングもあわせて思い出して奇妙な気持ちになりました。

それはともかく。

ミスボドは、大人数であることよりも、部屋がたくさん使えたことが楽しかったのです。部屋ごとに雰囲気が別れていたこと。それが楽しかったのです。

人狼部屋。ポーカー部屋。重ゲ部屋。初心者卓。受付。ボードゲーム置き場。

あれだけの卓と椅子があったのに、それでも足りなかったこと。

ああ、楽しかったな。

ま、来月も開催されるんですけどね。

では、また。

ともかく「ライアーバード」を読め。

脇田茜「ライアーバード」の4巻がでた。完結巻だ。全4巻。いっき読みに最適なので、この機会にぜひ読んでほしい。

たぶん、一気に読んだらごっそりHPをもってかれると思うけど。

雑なあらすじは、京都を舞台にした、音が見える共感覚の少女コトと、自分を裏切った過去のすべてをすてさり、京都とギターに逃げ込んだ少年ヨタカとの出会いと衝突と音楽の物語です。

共感覚から音が見え、また加えて耳がよく、一度きいた音楽は、たとえその演奏がひどいものであってもギターであれば再現できる才能を持つ少女、コト。だけれども親に捨てられたため、ひどく幼稚で感情を制御できず、言葉よりも先に手足が動いてしまうため、社会の中ではなにをやってもうまくいかなず、自信がない。

一方のヨタカは過去に離婚した両親から捨てられ、音楽で出会った仲間からも捨てられ、それゆえに誰も信用せず、社会に期待をしていない。そのさめた態度と裏腹になぜかほっとけない雰囲気からか人に恵まれ、バイトとバンドと社会生活には問題がない。

偶然であったふたりが交わすのは「あいつは自分がほしいものを全部持っている」という、身勝手さからの衝突だった。

しかし、ヨタカのギターにコトの歌声をのせる楽しさを知った2人は音楽を通じて、自分を理解し、お互いを必要としていくのだが、そこに過去にヨタカをうらぎったバンドメンバーのカホトが現れる。

カホトのバンド「ベンヌ」の音に魅了され、その音を自分の声で服従させる喜びを知ったコトは。

というところまでが最終回手前くらいまでのあらすじですかね。

でも、この漫画を、こんな雑なあらすじくらいで読んだ気になってほしくない。

音が見える。

ただこれを見せるためだけに、作者がHPを削って、篭めて絵を描いているのだから。とにかく読んでほしい。

いろんな形で、矩形で、羽で、円で、多角形で、シロとクロで、ページいっぱいに「音」を書き尽くしている。繰り返されるそんなページたちからはもっと描ける、こんなんじゃない、見えている音は、見せたい音はこれじゃない、そんな悔しさも見て取れる。

そんな圧倒的熱量に圧倒されてほしい。でも、だから、いっき読みだとHPをごっそり持っていかれるだろう。それも心地いいけど。そして完結したいまなら、いっき読みしたときに、「それ」に気づいて、またぞっとするだろう。

 

全4巻。

かかれているのは一瞬の出来事。

テーマソングはビートルズの「ブラックバード」。

傷ついたブラックバードはそれでも、あきらめず、折れた翼で飛ぼうとするのだ。

www.youtube.com

で。以下、ネタバレみたいなもの。

最終回なんだけど「東京にでて1年がたちました」と一文が入るんだけど、単行本だとそれがないんすよね。だから最終回がちょっとわかりにくいような気もした(ちっさく日記中に記載があるけれど)。最終回のカラーページはよりよく収録されている。これがもう胸を打つんだ。カーテンコールのようなカバー下も楽しい。

これで終わり。全部終わり。

「電撃 感謝祭2018」で余計なことを考えてた。

このあいだの土曜日が「ゲームの電撃 感謝祭2018 ついでに電撃文庫」に行きました。楽しかったのですが。

事前応募のチャリティチケットに当選したんですけど、10時開始のイベントで9時集合とのこと。当日は暖かいと予報がでてたのにめっちゃ寒いし。

9時少し前に会場のベルサール秋葉原についてみるともうめっちゃ並んでいる。んがしかしチャリティチケット当選者はなんとなく会場かどでたむろしている雰囲気。で、9時少し前から当選組が入場待機列形成。物販2列とそれ以外組の3列待機。私は11時からの電撃文庫新作ステージの優先入場希望だったのですけれど、あーちがうのか、これ、と天を仰いでいたのですが、その以外組がさらに1Fのゲーム試遊、2Fの試遊、そして地下のイベントステージと3列に分けられたので安心しました。9時集合で11時のイベントに参加する狂人は6人でした。くるっとる。事前情報なしですからね。「豪華ゲスト!」とだけ。待機列でさて豪華ゲストは誰だとみなで話しこんでいたんですけどね。私としては作家先生がゲストならうれしいなぁとだけ思ってました。

で、イベントが始まる。最近のイベントはネット中継があるから開始時刻が正確になりましたな。

まず最初は「ストライク・ザ・ブラッド」OVA第3期。豪華ゲストは種田梨沙さんと日高里菜さん。まぁ、三雲先生は無理ですな。

「進路相談で剣巫って答えたら怒られた。人類を救う大切なお仕事なのに……」などとOVA3期の紹介中の種田梨沙さんを見ながら「あー、上の出展に藤商事がいたなー」と別のことを考えてました。

3月に楽曲追加と事前告知があってうっすく期待していたら、案の定裏切られて「フェアリーテイル」の楽曲販売開始とか。ちがうだろ「零式純情TURNING!」を販売してくれ、と。他のも全部。最悪「エフるっ!」だけでもいい。静止画素材もできれば販売してほしい。あと大当たり中のムービーもほしい。これも「エフるっ!」だけでもいい。検定釘問題をあんな風に回避するとはさすがだね、2分の1でTY1400なのもサイコーだし、ST100回100%なのも神台すぎる。保留8個もいい。TY中は電チュー、低確率時はサポートなしでいいじゃん。理にかなってる。ただ電チューの戻しが1個なのはTY400のときに辛すぎる。流行りだけど。加えて機械としては大型液晶じゃなくて、小型2つで部材を調達しやすくしたのも巧い。枠も藤商事のこれまでのが使えるのもいい設計だ。ここまでそろってるのに5000台限定なのが悔やまれるほどの巧さなんだよなぁ。いや、それよりも楽曲販売をなぜしない。半年すぎたんだから、いいじゃないか。曲が販売されても打つからさー。大当たり中でフルコーラス聞けないし。昨年は赤字決算だったんだし、ちょっとでも売りが立つなら楽曲販売しませんかね。景品にサントラを出してくれるだけでもうれしいんですが、いかがでしょうか。

展示でアンケートがあればそんなことを書きたかったのですが「23/7」では試遊だけでした。ぷっちょありがとう。うれしかったです。楽曲販売してくれるともっとうれしいです(しつこい)。

続いて「青春ブタ野郎」のアニメ化発表。これは原作の鴨志田先生が登壇。「Just Because!」も舞台は鎌倉でしたよねー。とか。やっぱり原作者に登壇してほしいとつくづく思いました。アニメが楽しみです。

んでもって、当日の目玉「ブギーポップ」の新作アニメ。これは田中プロデューサと悠木碧さんと大西沙織さんが登壇。いやいやPVがアツすぎるでしょ。スマホを使っていたのが印象的でした。作中時間は現在なのか。なお、このPVはテレビアニメと関係がないそうです。なんじゃそりゃ。そのあとネット上でこれを引き金として、他にもあるだろアニメ化議論が沸きあがって、インターネット老人会みたいになってて楽しかったです。「EGコンバット」は死んだんだ。

ブギーポップ」は個々最近は年1冊新刊が出ていたので、まだ現役なわけで、他のアニメ希望されてるのとは事情が異なるような気もする。先にアニメ化された「キノ」もまだ新刊がでてるわけだし。そういえば新「キノ」もキノ役が悠木碧さんでしたな。この調子で「イリヤ」も頼む。

と思っていたら、最後にまとめて商品紹介の中に「イリヤ」のブルーレイが。和田編集長いわく「ボックスになるかはわかりません」とのことでしたが期待してます。「生きてます」の一文でもいいです。またもやインターネット老人会のネタですかね、これは。

途中で、電撃文庫25周年、ブギーポップ20周年、電撃20周年記念アニメは「ストライク・ザ・ブラッド」だったと説明があったり。昨年は「電撃」25周年。つまりあの「コミックコンプ」騒動から25年であり以下略。

と1時間とは思えないステージで楽しかったです。またあたるとうれしいなぁ。楽曲販売してくれるともっとうれしいなぁ。

「君に恋をしただけじゃ、何も変わらないはずだった」が期待通りだった。

期待していた、筏田かつら「君に恋をしただけじゃ、何も変わらないはずだった」が期待通りだった。こういうのはとてもうれしい。うれしいので駄文を書く。

あらすじは、前作でお邪魔モノというか「ライバルが出てきて自分の気持ちに気づくって結構ベタだけどね」(ゆうべはお楽しみでしたね)のような登場人物だった、磯貝久美子がヒロインのラブコメ。舞台は広島。お前にそんなにリセット願望があったのか。

期待通りというのは、前作同様ラストシーンで「なにやってんだよ! てめー! 走れよ!」と主人公の柏原くんにいらだったこと。

ブコメって、神の視点で読むんですよね。答えがわかってるから、登場人物たちの関係性を見ていらだてる。登場人物からしてみれば、結果なんて知らないから、結果を知りたいから、知りたくないからなんてのが物語なわけですし。「からかい上手の高木さん」だって第1話で答えが出てるから、楽しめるわけで。いや、お前勝ち確定だから、さっさといけよ! とやきもきできるのが楽しいわけですよ、ラブコメ

今回は期待しているゴールはあるんだけれど、登場人物たちの関係がそれを許さない。えー。これって破滅しかないじゃんと思ったら、最後にはぱちんぱちんとそれぞれが収まる。その安心感。舞台が広島だったので、血で血を洗う構想の可能性すらあったわけですし。いろいろ途中は怖いんですけど、最後のまとめ方が明るくって、読後感が心地いいんですよ、ほんと。

で、その精一杯かっこつけたかった最終章のその次のエピローグが、やっぱり女の子ってずるいなー、とつくづく思ったわけです。やっぱりですよ、やっぱり。あと、自分の中で途中から柏原くんが完全にラーメンズ片桐だったので、最後の最後で裏切られた感じでした。お前、モテる奴やんけ。裏切り者め。口絵のキャラクター表なんて完全に忘れとったわ。いや、お前、絶対モテる奴やんけ。あと、細かいところでは「お好み焼き」と書かれていたことでしょうか。ここ大切です。

あとがきを読むと、もうひとりぶん外伝が出る予感ですので、これまた期待。

こがらし輪音「この空の上で、いつまでも君を待っている」が好きだ。

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こがらし輪音「この空の上で、いつまでも君を待っている」を読み終わった。ここ最近で一番好みで、一番泣けた一冊となった。

昨年秋の電撃祭での発表された、第24回の大賞受賞作だった。タイトルとそこにあったあらすじを読んだだけで、大好物の物語だと直感できた。読めるのが待ち遠しかった。

あらすじとしては、夏休み前に偶然にロケットを作っている少年とであった少女が、その夢と情熱に打ち抜かれる、ガールミーツボーイものだ。少女の観点から書かれるので、これはガールミーツボーイなのではないかと。そんなジャンルあるのか知らんが。

先に述べたように、まず第一にとにかくタイトルがよかったのだ。彼女から見れば、少年は「ガラクタの王」なんてかっこわるいものでしかない。それでも王、彼女にとってはそう見えたのだし、それを賛辞と受け取る少年との関係性もあこがれるほどに愛らしいではないか。

んがしかし、改題。そのタイトルも作中に出てくる、重要な言葉ではあるのだけれども、あまりにもかっこつけすぎじゃないか。そんなかっこよさなんて少年は求めていなかったんじゃないか。そういう意味ででてくる言葉じゃないし、そんなあきらめじみたかっこよさなんて、まったくこの物語には似合ってないじゃないか。

メディアワークス文庫から出すから仕方なかったのか。

と、改題は残念だったけれども期待通りだった。ひとなつの、人生を変えちゃう出会いと別れの物語。不穏な最終章から、一転する長いエピローグともう涙が止まらなかった。まるで、期待したけどなにもなかった夏休みが終わった残暑の9月の学校からの帰り道で背を丸めてとぼとぼ歩いていると、突然背中をちからいっぱい叩かれて、元気ねーな! と期待通りの彼女の声がしたうれしさのような、長いエピローグが、本当に、本当にうれしくて、きもちよくて、ライトノベルだからこそできる終わるかただった。昨年の「86」でも思ったけれど、こういう終わり方ができるからライトノベルの価値があるんだ。

2回読むと、懐かしいアルバムをめくるような気持ちで、もうしょっぱなから泣けた。ああ、そんなことがあったなぁ、と、自分の思い出のように身近に感じられて。

こういう「エモい」物語は今となっては2本立ての電撃文庫としてはメディアワークス文庫から出すべきなんだろうけど、やっぱり、元のタイトルのまま、少年向けとして電撃文庫から出してほしかったなぁ、なんて思う。売れるのはメディアワークス文庫なんだろうけどさー。

というわけで、これを読み終わった私は、書棚の「ほうかごのロケッティア」(大樹連司 ガガガ文庫)の隣に並べましたとさ。

その隣には「ひとりぼっちのソユーズ」(七瀬夏扉 富士見L文庫)が並んでます。

つまりはそういうことなのです。